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映画興行対談
映画興行対談

第17回「2008年上期の日本映画興行を振り返る」

掛尾:
今回は、今年の上半期の映画興行状況を振り返ってみたいと思います。いま、観客の外国映画離れが顕著になってきています。実際、興行成績を見てみると、今年の出だしこそ「アイ・アム・レジェンド」「アース」などが好調でしたが、春休み以降は「ライラの冒険 黄金の羅針盤」が興収37〜38億円、「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」が32〜33億円と軒並み期待の数字を大幅に割り、現在公開中の「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」も目標数字が100億円と言われながら55億円を超えるかどうかという状況です。
対する日本映画は、上半期ではアニメを除くと20億円を越えたのは「マリと子犬の物語」「陰日向に咲く」しかなく、昨年に比べて厳しいスタートでしたが、春以降「相棒─劇場版」「ザ・マジックアワー」「花より男子ファイナル」と大ヒット作が続き、いよいよ邦高洋低の状況が鮮明になってきました。おそらく邦洋逆転が喧伝された一昨年以上の差になるのでは、と言われていますね。そして、全体の興行成績はどうかというと、1月〜6月では前年比95%ぐらいでしょうか。
大高:
上半期はもっと落ちるのではないかと思います。何と言ってもハリウッド・メジャーが前年比で66%と、30%以上も落ち込んでいますからね。「ナルニア国物語─」も前作の約半分の興収しか上げていませんし、大作が各々、予想より20%程度下回っています。さらに10億円以上の中規模のヒット作はもっと目減りしています。
ハリウッド・メジャーのある配給会社の人間が、外国映画はこれまでインディペンデント系の会社に再編淘汰の波が押し寄せていたのが、今後はメジャー系にもこの波が押し寄せるだろうと言っていたのが非常に印象的でした。80年代、90年代にスタッフ3〜4人で年に数本配給していた小規模の映画会社が、ここ数年は解散したり、事実上の開店休業の状態に追い込まれていました。こうした事態が中規模クラスのインディペンデント系会社にまで押し寄せ、さらにその波はハリウッド・メジャーにまで及び始めたと言っていいと思います。
掛尾:
今後の各社のラインナップを見ても、あまり見通しは良くないですね。ハリウッド映画が不調なのは、日本の観客が成熟しているから、という側面もあると思います。例えば、「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」や「シュレック3」のような作品は日本以外の国々ではいい数字を出しているんです。ところがそれらの作品が日本市場では外国ほどのヒットにはならない。全体的に日本の観客が高齢化していて、現在、ハリウッドが世界に発信する映画とマッチしない傾向があると思う。
大高:
いまのアメリカ映画にはドラマがないですからね。ほとんどがCG映像主体で、その合間にかろうじてドラマが入っている感じの作品が多い。そんな映画には観客が飽きて、逆にテレビドラマに向かっている。私はこの現象を“洋画の底が抜けた”と言っているんです。かつて、90年代でしたかね、“日本映画の底が抜けた”と日本映画の質的な側面を指して言われましたが、まさに現在の外国映画の状況がそう。アメリカ映画のステイタスが完全に落ちましたよね。
掛尾:
しかし、日本以外の外国ではヒットしているんですね。
大高:
本当にそうなんでしょうか。いまのアメリカ映画は「インクレディブル・ハルク」にしろ「アイアンマン」にしろどんどん内向き、自国の観客だけに向けて映画を送り出しているような気がする。
掛尾:
確かにアメコミを原作にした企画などは内向き見えるかもしれませんが、その種のCGを多用した映画を楽しむ観客層が多くの国に存在するんですね。でもこうした映画は日本の観客にはなかなか受け入れられない。また、日本には「花より男子─」、「相棒〜」のようなテレビ・ドラマから派生した映画が多くの観客を集めるという、外国には存在しない特殊な環境があります。
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