キネマ旬報映画総合研究所
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映画興行対談
映画興行対談

第16回「2008年、いま日本映画界に求めること」

2007年各社配給本数シェア 2007年各社興行収入シェア
2007年各社興行収入シェア 2007年各社配給本数シェア
掛尾:
なるほど。でもやはり私は、これからはまたハリウッド映画の時代が来るのではないかと考えますね。
大高:
私も来てもらいたいですよ。邦洋が拮抗して、国内各社が拮抗して映画界全体が盛り上がればいい。要は全体のパイが拡大すればいいんですから。いまは小さなパイの取り合いで、東宝がそれを独占している状態だから憂慮しているんですよ。
掛尾:
それは東宝の責任でありませんがね。他社が東宝に続けばいいだけであって。ところで各社間の格差ということで言えば、昨年は日本映画、外国映画あわせた興行収入は1984億4400万円、公開本数は810本だった。その内、大手13社(東宝、WB、ディズニー、ソニー・ピクチャーズ、松竹、FOX、UIP、東映、東宝東和、アスミック・エース、GAGA、角川映画、ショウゲート)の興収は1873億0809万円(94,3%)、配給本数は219本(27,0%)です。つまり、591本で5,7%の興収を分け合っていることになる。全体で810本のうち、大手13社が配給した作品は219本。残りの600本弱で6%の興収しか稼いでいない計算になります。独立系では「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が20億円、「パッチギ! LOVE&PEACE」が6億円、「キサラギ」が4億1千万円ですから、これらを除けばもっと悲惨な数字になります。
大高:
確かに大手と非大手の格差もあるんですが、大手の中でも大変な格差がありますからね。だから松竹、東映に期待するのは当然として、私は角川映画や日活といった3社以外の老舗にも頑張ってもらいたいんですよ。この春、角川が「カンフーくん」を100〜150館規模で、日活でも「うた魂♪」を200館規模で公開しますが注目したいと思います。いまのシネコンの時代は、チェーンを持っていないから劇場にブッキングできないという言い訳はきかない。作品の企画次第では準大手でも大ヒットさせることは不可能ではないはずなんですから。
掛尾:
こうした会社が10億円超の作品を年に2本くらい配給できれば日本映画の状況も随分良くなります。ところで、さきほどの格差に話を戻すと、今年はインディペンデントの製作、配給会社がますます厳しくなり、ひょとしたら倒産するところも出て来るのではないでしょうか。
私たちはこれまで、大手がテレビ局と組むことによる寡占構造の問題点を指摘してきました。しかし、私は最近、ある程度の淘汰はやむを得ないのではないかと考えるようになりました。むしろ、ここ数年で安易に映画業界に参入してきた方々には退場してもらったほうがいいのではないかと。
この逆境の中で踏まれても踏まれても雑草のように生えてくる人たちに期待したい。本来、インディペンデントは大手ではとても出てこないラジカルな企画を生み出すことに意義があるのですが、いまのインディペンデントの状況を見るとあまりに企画力が不足しているように感じるんです。
大高:
それはありますね。「パッチギ!LOVE&PEACE」や「めがね」は前作の成功体験を踏襲しているだけとも言えるし、「ヱヴァンゲリヲン」と「キサラギ」くらいかな、昨年の企画で斬新だったのは。でも今年になってからはテアトル新宿1館で1週目1,100万円の興収を上げた「人のセックスを笑うな」という成功例が現れました。「リアル鬼ごっこ」も興収ランキング9位になりましたし(2月16、17日)、「劇場版 空の境界」シリーズはレイトショーのみの公開ですが、毎回満席で入りきれない人が出ているそうです。こうした作品もあるにはありますよ。
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