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- 掛尾:
- この秋の日本映画の興行を見ると、「クローズZERO」「恋空」「ALWAYS 続・三丁目の夕日」という3本のヒット作を見るように、相変わらず東宝1社が強い状況が続いています。この中で何と言っても驚いたのは「恋空」です。当初はノーマークだったのですが、現時点(12月14日)で興収35億円以上が見込まれる大ヒットになりました。作品論ということより、ヒットしている現象について、つまり、この映画がどうしてここまでヒットしたのかということについて話してみたいと思います。
- 大高:
- 「クローズZERO」とこの作品に関しては東宝内部ではかなり早い段階で、ある程度、ヒットの手ごたえを掴んでいたようですね。
(C)2007 映画「恋空」製作委員会
- 掛尾:
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「クローズZERO」は原作も売れていたし、僕もある程度ヒットを予想できたんです。三池崇史監督が東宝の作風に合わせられるかという危惧はあったにせよね。でも「恋空」は予想できなかった。実際に作品を観ても、どうしてここまでのヒットとなったか、よく理解できないというか、受け止められません。ただ、この映画を見たとき、正直私自身は乗り切れなかったのですが、スピード感があって、情報量が多くて、退屈はしなかったんですね。
- 大高:
- 何故、「恋空」がこれだけの成功を収めることができたのか。ご存知のようにこの作品はケータイ小説の映画化なんですが、とにかく「恋空」は若い女の子たちにとってバイブル化していたみたいですね。
- ケータイ小説にアクセスするという行為は、本を活字で読むという行為とは根本的に違います。しかし確実に彼女達の気持ちを掴んだ。映画の大ヒットは、携帯小説をある程度再現できていたことに要因がある気がしますね。
- 掛尾:
- 普段活字をあまり読まない人たちにとって、この映画がよくマッチしたのでしょう。とにかく、すべてが説明されていて、行間を読むということを必要としない映画です。
- 大高:
- そもそもこの作品の今井夏木監督ってどういう人なんだろう。私は先入観を持たないで映画を観ることにしているので、事前に調べたりしないのですが、まだどういう人なのか分かっていない。おそらく女性だと思いますが。
- 掛尾:
- 僕はこの原作を他の監督が撮ったらどうなるだろう、ということの方に興味がある。平山秀幸監督や三池崇史監督や石井隆監督だったらどんな作品になっていたか。つまり、従来の監督では、どうしても作家の想いが入ってしまうから。
- わたしは映画専門大学院大学というところで、若い人たちと一緒に映画について話しているのですが、先日、「恋空」のヒットについてレポートを書いてもらいました。そこで、原作者がアマチュアの作家であり読者との距離が近いこと、そこから感じ取れるリアルな感動がある、という指摘が数人からありました。素人だからこそ、読者の心をつかめた。ということは、映画作りのプロには、現代の観客を感動させられないのかということです。
- ところで、監督の今井夏木さんですが、TBSのディレクターで、「恋する日曜日」、「ケータイ刑事」といったティーンを対象にしたドラマで定評のある人と生徒に教えてもらいました。つまり、プロの演出家が、意図してこのような世界を描いた。ケータイ小説ではアマチュア作家と読者の距離が近くても、映画では、プロが計算して読者と近い距離を作ったんです。これは、すごいことで、映画監督ではできないと言ったら、ドラマを作る感覚ですよと言われてしまった。
- また、キーワードとして、ケータイ小説、新垣結衣、主題歌を歌うミスチル、そしてみんなが見ている映画、みんなの話題に遅れないためというのがありました。あの映画は、一種のギャグでしょう、という冷静な反応もありましたが、意外とみんなこの作品に好意的で、結構、本気で感動もしていました。
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