キネマ旬報映画総合研究所
home
Backnumber
映画興行対談
映画興行対談

第11回「明日の記憶」

ラブストーリーではないジャンルの限界?

掛尾:
そこで今回、28億という興収は満足すべき数字なのかもしれないけれど、同時にラブストーリーではないジャンルの作品の限界ってこの位なのかと思ったんですね。近年の大ヒット作品「海猿」「世界の中心で、愛をさけぶ」という破格のヒット作品は、全てラブストーリーですから。
大高:
テレビ局のメディア宣伝の違いもあると思います。フジテレビが社内一体化して、「海猿」の宣伝を行ったのに対し、日テレが果たしてそこまで「DEATH NOTE」の宣伝に力を注いだかどうか。
掛尾:
それはそうですが、やはりラブストーリーを見たい女性OL層にまで、この「DEATH NOTE」は及んでいないのではないか。だから、ラブストーリーではない作品でここまでヒットしたのは凄い、と思うと同時に、ラブストーリーではないジャンルの限界も感じたんですよね。
大高:
やはり客層が狭いんだと思います。デートムービーではなく、来ているのはやはりコアな客ですから。その枠がもっと小さくなってしまうと、オタク映画で終わってしまう可能性もあったと思います。それでも、1400万部売れている原作ということで、ワーナーの興収目標の数字はもっと高かったようですけどね。
掛尾:
原作が1400万部売れたといっても、既刊10巻ででしょう。だから一巻あたり140万部。それもほとんど同じ人が買っているだろうから、140万人の動員とすると興収18億ぐらいか。こんなものでしょう。読者全員が来たとしても、18億。ワーナーとしては、読者の倍が来ると読んだということでしょうか。
大高:
読者の3倍も4倍も来るわけではなかったということですね。そこがこの題材の限界だと思います。
掛尾:
しかし男性ターゲットだけじゃなく、女性を呼んだと考えると、藤原竜也の起用が良かったと思いますよ。
大高:
藤原所属のホリプロも出資に入っていますね。プロダクションも入っていて、日活や松竹も製作に参加する、というような巻き込み型がうまくいった。製作委員会の中身がかなり多岐にわたっていますね。
3/4ページ
© Kinema Junpo Film Institute,Limited,All Rights Reserved.