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映画興行対談
映画興行対談

「DEATH NOTE デスノート [前編]」」

重いテーマと救いの要素

掛尾:
「DEATH NOTE [前編]」が興収28億に届くかという大ヒットをしていますが、僕は不覚にもここまであたるとは予測していなかったですね。今作のヒットが投げかける波紋はいくつかあると思いますが、まず洋画メジャー会社ワーナーの日本映画の単独配給作品であるということが大きいと思います。そしてさらに、企画が日本テレビ、ワーナーが配給、現場の製作を日活がやって松竹系の劇場で上映するというように、一人勝ちの東宝に対して“反東宝連合”とでも言うようなチームができて、それがここまでヒットしたのが大きかったんじゃないかと思います。
大高:
この作品は、日テレの企画で、日テレがいわゆる幹事会社ですね。日テレとワーナーのつきあいというのは、トワーニ(※東芝とワーナーと日テレの出資による映画製作会社)からあるわけです。トワーニは、「さくや妖怪伝」や「天使の牙」などを作っていましたが、なかなかうまく機能しなかった。最後の作品が「キューティー・ハニー」ですか。ですから、製作、宣伝担当など各セクションにおいても、日テレとワーナーのつきあいは長いです。「DEATH NOTE」は、そういう中から出てきた、“ポスト・トワーニ作品”とでもいうような企画ですね。
掛尾:
この原作には、若い人たちに熱狂的なファンが多くいたんですよね。その大ベストセラーとなった、ジャンプ連載の原作をテレビ局が企画し、洋画メジャーのワーナーが配給し、なおかつ製作の現場を日活が行い、松竹系の劇場に出した。この配給会社の部分が、松竹じゃなくてワーナーだったというのがポイントだと思います。松竹は配給・興行ともに持っているのだから、ワーナーがいなくても企画が成立したと思うのですが、今回ワーナーでの配給というのが成功の要因のひとつになっていると思うんです。しかし、この企画もそもそもは日テレから東宝に持ち込まれたそうですね。その時、[前編]を6月に、[後編]を11月に上映というのが条件だったようで、東宝としては、その時期劇場が満杯で入れることが出来なかった。それが、こういうかたち大ヒットしたというのは、皮肉な感じもします。
大高:
ワーナー単独配給の日本映画が、松竹・東急系のチェーンに出たというのは画期的ですよ。松竹の興行サイドとしては反発もあったでしょうね。原則、自社が配給に関わらない日本映画は、自社系のチェーンには出さない不分律がある。これは東宝も基本的には同じですが、しかしそれを今回、ワーナーはこじ開けてしまった。これは松竹が最後に出資したということも関係しているとは思いますね。自分たちが出資に参加する代わりに、ワーナーの単独配給を飲んだということも考えられる。とにかく、日テレ・ワーナーにしてみれば、トワーニ時代よりも、数段レベルが高い製作・配給のスタイルを取ることができた。
掛尾:
それはその通りですね。
大高:
面白いなと思うのが、ワーナーも、トワーニをやりつづけるなかで「日本映画を作ろう」という方向性が明らかに出てきたということです。作品としても、「キューティー・ハニー」同様漫画原作で、そこにワーナーが手掛ける作品の個性が出てきているともいえる。トワーニでは失敗が多かったけれども、徐々に、日テレと、ワーナーの歩調がうまくかみ合ってきたということですね。具体的には、ワーナーはローカルプロダクションという部署が去年立ち上がって、アジア映画を中心に当ててきた経緯があった。そういう体制がなかったら、簡単に「DEATH NOTE」なんて配給できなかったでしょう。
掛尾:
ワーナーは、ローカルプロダクション、正確にはローカルアクイジションで、「HERO」「LOVERS」「僕の彼女を紹介します」などのアジア映画をあててきた。「DEATH NOTE」は、その延長とトワーニの経験の延長上にあったというわけですね。
大高:
「DEATH NOTE」については、ワーナーは単なる配給委託だけでなく、中身に対しても関わっています。日テレ主導ではありますが。ただワーナーは、「ブレイブ・ストーリー」や「キャッチ・ザ・ウェーブ」には出資しているんですが、「DEATH NOTE」には出資はしていないんですよ。要するに「ブレイブ・ストーリー」に出資したので、「DEATH NOTE」に出資できなかったという事情があった。どういうことかというと、「ブレイブ・ストーリー」がフジテレビ製作で、こちらは日テレ製作。だからほぼ同時期に近い2作品には、同時には出資できないというワーナーの社内事情があったんでしょうね。だから手数料だけとるという配給委託ですが、企画段階から絡んでいるので、単なる委託とは違うわけですね。
掛尾:
もっと極端なことをいうと、ワーナーはアジアにシネコンを作りはじめているから、そのへんも日テレは考えているかもしれないですね。
大高:
やっぱりワーナーだと劇場をおさえるのが強いんですよ。丸の内プラゼール系を、6月と11月に、[前編][後編]でとれるなんて、なかなかできないことです。ワーナーだからこういうブッキングができたということですよね。「ブレイブ・ストーリー」も「スーパーマン リターンズ」もあるし、それは劇場サイド(松竹・東急系)としたら、公開せざるを得ない。
掛尾:
ワーナーは「マトリックス」なんかも、劇場を夏と冬ずっとおさえましたからね。
大高:
今「マトリックス」という作品が出てきましたけれど、「DEATH NOTE」は、「マトリックス」あたりに続く、ワーナーの新感覚エンターテイメントの流れにあるとも言えます。純粋日本型の娯楽作なのに、そう見えてしまう。記者会見なども派手で、日本映画の従来型とは一線を画してましたよ。
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