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映画興行対談
映画興行対談

第8回「かもめ食堂」

やっぱり、猫が好き…?

大高:
 今回の「かもめ食堂」は、「一体何だ何だ?」というヒットの仕方が、「Undo」に似ている気がしました。公開前にはそれほど話題になっていたわけではなく、タイトルや中身の詳細も分からない。そういうのが当たっているんで、業界関係者が今こぞって見にいっているという。ただ、まあ「やっぱり猫が好き」ということだけではないと……。
掛尾:
 「猫が好き」は、根強いと思いますよ。あの何も起きない感。
大高:
 「猫が好き」の支持者を狙っていることはわかりますけど、中身的には全然違いますよ。だけど視野に入れているのは、小林聡美、室井滋、もたいまさこと世代が近い人たちで、あの頃から比べると年代が上がっているから、30代から40代の女性層というのはわかります。当然、映画を製作する場合、マーケティング的にはそうした背景があったでしょうね。
掛尾:
 単館は特にマーケティングより作家性が勝っている映画が多いけれど、映画を、マス・エンターテインメントとするならば、単館でもこのくらい意識すべきではあると思います。この企画は霞澤花子さんという方が重要な役割を果たしていますね。
大高:
 監督の荻上直子は、テレビドラマ「やっぱり猫が好き2005」を手掛けている。もたいは、監督の全作にも出ていますし、そういった女性たちの親密な関係のなかから生み出された企画のような気がします。
掛尾:
 「やっぱり猫が好き」ということでいうと、フジテレビの番組なのですが、この作品は日本テレビが製作に入っています。フジテレビは最近スペクタクルな企画に傾斜してますが、「ALWAYS 三丁目の夕日」にしても「かもめ食堂」にしても、日本テレビはフジテレビとは異なる雰囲気の世界を描きますよね。
大高:
 確かに「ALWAYS 三丁目の夕日」「かもめ食堂」という流れは、フジとは明らかに違うものですね。それにしても、前売が3000枚以上出ていて、これは「ライフ・イズ・ビューティフル」の“実質的”前売り数を上回って、シネスイッチの歴代記録なんですよ。その「前売り券を買った理由」を考えると、「猫が好き」的な理由なのか、ちょっと分からないところがあるんですよ。
掛尾:
 「かもめ食堂」のヒット連鎖を受けて、次番組の「寝ずの番」も2000枚の前売りになっているというのはあると思います。東宝の強さを考えても、前番組がいいから循環していくわけですから。ただ、シネスイッチ銀座は、昨年暮れから「カーテンコール」「疾走」と当たっている流れではない。だから、前番組を観た人が「かもめ食堂」を観たいと流れたのではなく、ちゃんと「かもめ食堂」というタイトルを認識して、アイデンティファイして前売り券を買っているんですよね。
大高:
 確かに、映画館の邦画の流れから生まれた大ヒットではないですね。ただ、シネスイッチは女性の支持を多くもつ洋画で定評がありますけどね。
掛尾:
 おそらく、予告編の露出度はそう高くはないでしょう。宣伝費も5000万円位じゃないでしょうか。そこまで露出していないにも拘わらず、この作品を観たいという人が駆けつけているのは、やっぱりピンポイントのターゲットにきちんと届いたということですよね。
次週に続く
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