キネマ旬報映画総合研究所
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映画興行対談
映画興行対談

第8回「かもめ食堂」

単館の当たり方

掛尾良夫
掛尾良夫
掛尾:
 大当たりで話題の「かもめ食堂」ですが、封切り劇場はシネスイッチ銀座ですね。シネスイッチは、「ニュー・シネマ・パラダイス」そして「ライフ・イズ・ビューティフル」で動員記録を出していますが、今作は「ライフ・イズ・ビューティフル」の初動と同じくらいのヒットだということです。1週目の興収が1380万。2週目が1500万。3週目が1500万ということで、通常非常に好調な劇場でも週700万位がいいところなのに、3週で4880万円と、凄くヒットをしていると。おそらく配給会社もここまでヒットするとは予測してなかったと思うんですよね。では、何でこんなに当たったのか? 600円の劇場プログラムが公開3週目の途中で売り切れてしまって、それでも7000部以上出ているそうです。
大高宏雄氏
大高宏雄氏
大高:
 それ以外の物販も、九百円のポストカード付きグッズが凄く売れていて、北欧の、ムーミンの文鎮みたいなものとか色々置いてありましたね。
掛尾:
 観客層は、30代40代の女性グループが中心で、これはかつてフジテレビでやっていた「やっぱり猫が好き」の延長上にあるキャラクター&キャストということと、もう一つは群ようこの原作であるということですよね。ただし原作ありきではなく、最初から映画化を前提に原作を書き下ろしたようです。
大高:
 はじめに映画ありき、と。
掛尾:
 そう、企画者が映画化ありきで群ようこに原作を書かせた。この企画は、群ようこの読者層と、「猫が好き」のファン層にクロスしているところに向けて、周到にマーケティングされた企画であったということでしょう。それがキレイにバットの芯に当たって、二塁打狙いが三塁打になったのでは?
大高:
 スタートの時点から二日間で3000人入っているんですが、これはこの劇場のキャパシティからしたら凄い数字なんですよ。それは、昔ながらの流し込みで、立ち見状況になっているからでしょうね。上映時間も1時間40分位で、そんなに格式ばって観る映画でもないから、立ち見でも結構入ってしまう。それも1つのポイントでしょうね。
掛尾:
 シネコンが普及してからは、座れなければ見ないっていう習慣がついてきているじゃないですか。ところが、この映画は基本的には単館発ですよね。他で観れない、シネコンでもやってない、というのは立ち見の原動力になりますよね。「ニュー・シネマ・パラダイス」もそうだったんですけど、この映画は、他でやっていないという「単館の強み」とリンクしたことも大きかったと思うんですよね。
大高:
 作品の中身は全然違うんだけど、シネスイッチ銀座での上映作品ということで、岩井俊二監督の「Undo」という映画を思い出しました。「Love Letter」の前で、まだ監督の知名度も低い頃。これをレイトショーでやって、大ヒットしていると聞き、観に行ったんだけども、客層はとにかくOL層が大部分で、クチコミで広がっていましたね。公開劇場はそこだけ。今思うと、主演の豊川悦司と山口智子の奇妙な関係のドラマが、不可解な魅力というか、変わった伝達の仕方をしたんだと思います。
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