キネマ旬報映画総合研究所
home
Backnumber
映画興行対談
映画興行対談
第7回「2005年の日本映画を振り返る」
掛尾:  アメリカの状況を見てみると、今年の劇場動員数は11%マイナス、興収で5%マイナスです。
大高:  大変な問題ですよね、1割マイナスっていうのは。
掛尾:  日本も、ハリウッド・メジャーは5社で20%くらい落ちています。前年対比は、東宝は前年と同じくらいで、東映が少し上がって、松竹は落ちています。インディペンデントでいうと、ギャガは上がってアスミックが落ちて、ヘラルド、ギャガ、アスミック3社で、前年対比は少し上がっていると。DVDの売上は前年対比95%と言っているけれど実際はもうちょっと悪いのではないか。勿論劇場でヒットしない作品のDVDは売れない、特にミニ・シアターで公開されている作品が特に非常に厳しい状況です。アミューズ・シネカノンやユーロスペースといった劇場での公開本数は多いのですが、、当たり外れが激しいですね。
大高:  松竹は、1999年にブロックブッキングを廃止して、洋画配給へシフトを移した。しかし今年からまた邦画の本数を増やしていくというんですが、そのための戦略がまだ見えないんですよね。時間はかかるだろうから、今年結論が出るということはないと思いますが。
掛尾:  東宝に比べて、松竹はマネージメントがまだ弱いですよね。変革の兆しは見えますが、やはり時間はかかるでしょうね。
大高:  ただ東宝も、安穏とはしていられない。「輪廻」が先日出ましたが、5億にとどかない。ホラー映画は完全に飽きられてきたと思います。一昨年の「感染」と「予言」も興収8億円で、決して良くない。「Jホラーシアター」シリーズとして東宝が仕掛けて今回が第2弾ということですが、邦画のブロックではもうできないかもしれないですね。シャンテやシネクイントでやるとか、そういう感じかもしれない。
掛尾:  その「Jホラーシリーズ」の黒沢清監督作品は、東宝は降りるという話を聞いています。
大高:  そういう可能性もあるかもしれない。「電車男」は六本木ヴァージンでヒットしていますし、別にチェーンが変わったから当たらないということはないんだけど、仕掛けとしては規模が小さくなるという。ホラー映画というのは日本映画の大きなポイントだったんですけどね。
掛尾:  数つくれば飽きられますからね。ホラーとかカンフー映画というのは、数年周期の循環でブームが起きますね。今は、その下降期に向かっているところではないでしょうか。だから、固定ファンしか見ない状況になってしまう。
大高:  掛尾さんも覚えていると思いますが、「リング」の1作目を公開した1998年、女子中高生がこぞって見にきていたあの時代と今は、やはり状況が違います。ホラー映画は、特定のファン向けになってきたと思います。
掛尾:  さっき言った循環の中で「リング」が生まれたりするんだけど、それを恒常的に提供しても無理なんでしょうね。テレビ番組は、よく無責任に、「日本のホラーは海外で売れる」というような特集をやったりしますが、それはたまたま「呪怨」がヒットしただけであって、恒常的な日本の戦略商品になるわけではないと思います。
2/3ページ
© Kinema Junpo Film Institute,Limited,All Rights Reserved.