| 掛尾: |
「ALWAYS 三丁目の夕日」は、驚くほど口コミが良かったですよね。数字的には、現時点で22億円。最終見込みも、25億円くらいじゃないでしょうか。僕は昔から『ビッグコミック』は読んでいたんだけど、あの連載のほのぼの感がゆるくて読み飛ばしていたんですね。だからあれを映画化すると聞いた時に、お客さんが来るのかなあと思った。作品を見て、昭和時代をモチーフに、こういうアプローチがあるのかと脱帽しましたね。 |
 |
 掛尾良夫 |
 |
| 大高: |
この作品は去年の12月に、東宝がラインナップ発表をやったときに入っていて、私は掛尾さんとは逆に、ちょっとひっかかるものがありました。原作は全然知らなかったんですが。駄菓子屋やら「ラーメン博物館」やら、ここ数年、色々なレジャー施設における、昭和の町の再現が頻繁にあるわけですよね。それが頭にあったのでこの「ALWAYS 三丁目の夕日」の企画も、何か可能性があるんじゃないかと個人的には感じていました。
|
 |
| 掛尾: |
ベースにあるのは単なる郷愁なのだけれど、それを普遍的な人情ドラマに仕立てている、その仕立て方が凄いと思いました。映画を見てしみじみ思ったのは、これは本来「寅さん」が終わった松竹が企画するべきものだなと。
|
 |
| 大高: |
そこはポイントですよ。「寅さん」云々もわかるし、とにかくこれはシリーズ化すべきではないか? つまり、この作品は、往年のプログラムピクチャーのシリーズものを想起させるんですよ。吉岡秀隆をメインに、とにかく人情ドラマになっていて、其々のキャラクターもきちんと作られている。その背景に昭和三十年代の町並みの風景があって……。
|
 |
| 掛尾: |
この作品では昭和の世界観が描かれ、そこにエピソードの断片がある。従来のようなドラマから発想しない人たちの作った映画=世界観を作り、そこにエピソードを置いていく。松竹が、もし「寅さん」の後にこういう人情ドラマを作ったとすれば、例えば森崎東監督や前田陽一監督で、松竹の典型的なコメディ風に作られた場合、やはり作家性のあるドラマになっていたでしょうね。
|
 |
| 大高: |
もちろん今回ドラマも作っているんだけど、ひとつひとつのドラマがそんなに濃くない。
|
 |
| 掛尾: |
そこに、ヒット作を作る貪欲さ、観客が何を求めているかということに対する貪欲さを感じます。
|
 |
| 大高: |
ただ結果、こういう映画になったけれど、作り手は「寅さん」路線を狙っていないと思うんですよね。東宝はこれまでにも、「ALWAYS 三丁目の夕日」の製作会社であるROBOTと組んで、CG技術の優れたものを当てようと、試行錯誤しながら何作もやってるわけです。CGを使ってもうまくいかないものはいくつもあって、例えば「リターナー」。だから今回は、題材を変えたなかで、CG映像の可能性を追求した感じがします。
|
 |
 |
 |
 |