キネマ旬報映画総合研究所
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映画興行対談
映画興行対談
第4回「メゾン・ド・ヒミコ」
NANA
配給会社: アスミック・エース
製作会社: アスミック・エース エンタテインメント、IMJエンタテインメント、日本テレビ放送網、S・D・P、カルチュア・パブリッシャーズ
監督: 犬童一心
公開日: 2005・8・27
丁寧に作られた作品の味わい
掛尾良夫
掛尾良夫
掛尾:  今回は、「メゾン・ド・ヒミコ」の単館公開作品としての興行的成功という点にプラスして、東宝がシステムとしてうまくヒット作を出してきたように、近年、日本映画で好調にヒットを出しているアスミック・エース エンタテインメント(以下アスミック・エース)の映画製作の在り方についても触れてみたいと思います。
大高:  作品を見て、興行はもっといけたんじゃないかと思いました。企画自体には、今の興行成績以上のポテンシャルがあったと思いますが、それにしてもアスミック・エースはこの企画をよく通しましたよね。 大高宏雄氏
大高宏雄氏
掛尾:  僕は作品は面白かった。興行的には、単館系作品としては充分な数字だと思いますが、製作費が割とかかっていることを考えると、もっといかせたかったでしょうね。つまり、東京の劇場、シネマライズと新宿武蔵野館の興行週数とアベレージから推定して、東京で興収1億円強、全国で1、5〜2倍としても3億円くらいということで、3億円を越えた「ジョゼと虎と魚たち」までは届かないのではないでしょうか。
大高:  企画はもの凄く面白く感じましたよ。この発想にワクワクしません?
掛尾:  はい。作品は面白く、作品論と興行は密接につながっていると思うんですが、ちょっと方向が違っていたんじゃないかなと思う部分はあります。おそらく「ピンポン」「木更津キャッツアイ」ほどのヒットではなく、「ジョゼと虎と魚たち」の1、5倍くらいを狙ったと思うんですが、そのラインで言うと興行的には成功しているといえますよね。まずはその要因について考えてみたいのですが。
大高:  この映画の魅力として、柴咲コウとオダギリジョー、この俳優ふたりを組み合わせたというのが大きなポイントですよね。
掛尾:  「メゾン・ド・ヒミコ」というタイトルも惹かれるものがある。重厚なテーマなのに、ゲイの人たちが集まる老人ホームの見せ方が綺麗でファンタジックなので、若い女の子も違和感はないんでしょう。
大高:  ロケーションの美しさも、特筆すべきだね。それからキャスティングの話に戻ると、今オダギリがゲイ役をやることに対して、ほとんど違和感はないんじゃないかな。柴咲もOLというよりも事務員役で、スッピンに近い顔のアップを最初にさらけだしているあたり、うまいと思います。この二人の俳優としての鮮度プラス役柄の面白さを非常にうまく引き出している。こういうのは、他の会社の作品にはない味わいだと思います。
掛尾:  それから作品を作るのか、商品を作るのかという観点で見ると、犬童監督はやはり作品を作る監督だと思います。映画的な記憶が溢れている。
大高:  映画的センスが抜群ですよね。ただ、観客の感じることはそういったことと違う部分も多いからね。ここが興行的には大きなポイントなんだと思います。
掛尾:  最近色々な日本映画を観ていますが、この犬堂チームの映画は、映画を見ることによって養われたセンスの溢れた、フランス映画みたいな感じがしますよね。
大高:  この企画は面白いし、監督の力もあって、キャスティングも成功している。特に柴咲はポテンシャルのある女優だなと思いましたね。彼女は役柄の幅が非常に広いということを今回感じました。オダギリは「アカルイミライ」などで作った映画での彼のイメージをCMでひっくり返した。ライフカードですね。今回は、「アカルイミライ」とライフカードの中間ぐらいの役柄だったかな。
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