キネマ旬報映画総合研究所
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映画興行対談
第3回「NANA」
NANA
配給会社: 東宝
製作会社: TBS、東宝、セディックインターナショナル、集英社、トゥルー・プロジェクト、IMJエンタテインメント、毎日放送、アニプレックス
監督: 大谷健太郎
公開日: 2005・9・3
推定興行収入: 500,000万円〜
広がりのある企画
掛尾良夫
掛尾良夫
掛尾:  現在「NANA」が大ヒットしていますね。原作は少女たちから高い支持を受けていましたが、「電車男」の時と同様に、実際に映画化されたとき、原作ほどの支持を受けるか読みきれませんでした。もの凄いベストセラーですから、ファンの分母を考えると興行収入で15〜20億くらいははいくと思いましたが、現在30億を軽く越えるヒットを驀進中であると。その勝因を探ると同時に、「原作もの」という視点でも考えてみたいと思います。
 原作ものを映画化する場合、これまで「私なりの解釈で原作を映像化したい」という言い方をする監督が多くいましたが、一方、観客サイドからは「原作より面白い映画は少ない」というのも定説でした。「NANA」を観たときに一番驚いたのは、非常に原作通りにやっているということ。「監督の強い色が前に出ていない」というところで、「NANA」のファンはスムースにあの映画世界に入っていけたのかな、という気がします。
大高:  東宝のラインナップ発表を見たときから、「NANA」や「タッチ」は、あたりそうな匂いがありましたね。東宝の営業関係者も「NANA」に関して随分前から自信を持っていたと思います。僕は原作は全く読んでいないんだけれど、まず「同じ名前の同じ年の女の子同士の話」という題材が、今の時代にフィットしているんじゃないかと思っていました。劇場では一般客のリアクションがもの凄く良くて、動員の数字も落ちが非常に少ない。客層は女の子のみかと思っていたんだけど、割合カップルも来ているんだよね。 大高宏雄氏
大高宏雄氏
掛尾:  それはそうなんですよ。「広がりがある」というのは「東京から地方へ」というところにもいえる。わたしはちょっとしたきっかけで、原作の『NANA』を最初から読んでいたんですが、当然かもしれないけど、その世界には入れなかった。でも印象には残っていて、ローカルから東京に上京する女の子の話というのがまず全国区的なテーマだと思ったのと、20歳の多感な女の子の好対照なキャラクターが受けるんだろうなと。ローカルにもなじめる企画だというのは、かつて、ある劇場の番組を組んでいて、「冷静と情熱のあいだ」がヒットしたとき同様の空気を感じたからです。デートで洋画や単館映画を見ない観客層に広がっている。ただ熱狂的な原作『NANA』ファンの「絶対に漫画の方がおもしろいから映画には行かない」と言う声も聞いていたので、そういう人も意外と多いんじゃないかと思うと、大きな予想は立てられなかった。
大高:  はなから「漫画の印象が強いから、映画は観に行かない」というのは少数派の部類でしょうね。とりあえず自分の好きな漫画が映画になるから、どういう映画になっているかは分からないけれど行ってみる、そういう人が多かったわけでしょう。
掛尾:  それはそうでしたね。また、拒否的反応を示していた人も口コミで行ってしまうという強さがあったのかもしれない。
大高:  そういう意味ではあたりはずれのコントラストも大きくなってきましたよね。
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