キネマ旬報映画総合研究所
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映画興行対談
第2回「電車男」と「HINOKIO」
強度の強い話題性
大高:  それから今の風潮として、一つの話題が広がると、中身がうんぬんよりも、その話題性そのものに引き寄せられていく人がもの凄く多いと思うんです。例えば、「ペ・ヨンジュンが来日するから、私イ・ビョンホンファンだけどペ・ヨンジュンにも行ってしまう」みたいなこと。日本人の意識は、「強度が強い話題性」があると、異常にそこに乗っかっていきますよね。
掛尾:  まさにそうですね。シネコンにしても、やはり作品が沢山あるのに、観客は多様な選択をしないで、話題の一つの作品に集中して足を運び、ヒットの加速をどんどん高くしていくわけでしょう。
大高:  それからこのタイトルは差別構造が少しあるかもしれない。要するに「電車男」っていうタイトルに付随した情報というのは、ちょっと自分よりちょっと低い人間を覗き見してみたい、という危ない関心があるというか……。
掛尾:  電車男を応援する仮面夫婦みたいなカップルとか、引きこもりの青年とか、萌え系のモテない三人の兄ちゃんとか、ある種現代社会の病んだ部分のティピカルな人たちを出しているから、ベースはすごくトラディショナルな話でも、味付けによって新しいものに触れている気がする。表社会の共同体は崩壊していても、ネット上では彼を応援する共同体として成立していくことが、むしろ今の観客には馴染めたのでしょう。そして、最後は病んでいた彼らもそれぞれ再生していくという、恐ろしくオプティミスティックな結末となる。
大高:  でもそこまでの情報が無い人も見に行っていると思うんです。それがやはり話題性の恐ろしさというか。この「電車男」の覗き見的な要素って過去のヒット作品でも似通った作品があるかもしれない。よくヘラルドが巧妙に宣伝して当てた洋画のB級作品のような……。
掛尾:  最近のヒット作を見ていると、俳優は重要ではあるけれども、「電車男」のように企画でヒットしてる場合が多いじゃないですか。愛をテーマにして、「電車男」だろうが、「いま、会いにゆきます。」だろうがラブストーリーとして成立させている。そういう意味で、クリエイティブコントロールができるプロデューサーがいる作品は強いですよ。
大高:  ただこの企画には、タイトルやネット発という情報に広範囲な話題性があったので、東映でやってもある程度のヒットになったんじゃないかと思う。逆にこれは東映がどう料理するかを見たかったね。「四日間の奇蹟」は東映主導の企画でしたが、「世界の中心で、愛をさけぶ」「今、会いにゆきます。」の純愛路線をうまくとり込めなかった。だから東映が「電車男」を映画化すると、前にも言ったようなストーカー的な映画になってしまう気もする。東宝がやったような脚本作りにはならないだろうから、より作家性の強い作品になっていた可能性が高い。そういったことを含めて、東映が映画化した場合のことが気になりましたね。
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