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映画興行対談
映画興行対談
第1回 日本映画の復活
 ここ数年「日本映画が盛り上がってきている」といわれているが、実際のところはどうなのだろう? ここでは、毎週公開される日本映画作品を取り上げ、ヒット作品・不入り作品の背景、映画興行の現状を分析していく。今回は第一回ということで、各社が邦画製作に力を入れ始めている現在の状況にいたるまでの背景、各社の邦画戦略等についてじっくりと語ってもらった。
シネコンによる映画館革命
大高宏雄氏
大高宏雄氏
大高:  1993年に神奈川県海老名に初のシネコンができたことによって、ある種の映画館革命がスタートしたわけです。それによって特に興行サイドの変革が生じた。それまで、興行網には確固とした系列があって、洋画系でいえば東宝系、松竹東急系に集中的に作品が出て、その系列あるいは契約館、個人館までその系列のもとに公開されていた。それが、日本初のシネコンが1993年にオープンし、以来、着実に数を増やし、1996年福岡にAMCキャナルシティという大きなシネコンができた。
東宝系の映画館に集中的に出ていた米国映画が、近隣のAMCでの上映されるようになり、これで東宝洋画系における系列の切り崩しができて、ここから地方における非系列化の流れが生まれたわけです。つまり地方の映画館の系列は崩されて、配給会社がある程度自由に作品を供給できるようになった。都市部での系列は、厳然と今も続いていますけどね。そういう流れの中で、ちょうど日本映画と洋画の興行収入シェアが、一時日本映画がどん底にあったものが徐々に上がってきた。かつて、日本映画は1980年代を一つのピークに、前売り券あるいは団体動員によって大作の興行が成立していたことがあった。日本映画が実際は崩壊寸前だったものを、前売り券の確保によってある程度食い止めていたわけです。これは、系列館の動員保証をするという意味もあったんですね。これがシネコンが出来てきたことによって不可能となってきた。しかしバブル崩壊後、企業が前売り券の販促をやらなくなったということもあって、日本映画はある種の丸裸状態になる。つまりシネコンの普及と、前売り券の販売でつくろってきた日本映画の興行のいき詰まりが交錯していくわけです。
掛尾:  シネコンが1993年にできたとき、業界内ではシネコンは定着しないのではないかというような冷ややかな視線もあったのですが、1997、8年から一気に増加して、地方の多くの映画館が閉館に追い込まれた。そういう象徴的なことが起きて、1997年には1700スクリーンくらいまで落ち込みました。それが2005年頭には2800強のスクリーン数へと増加した。90年代の半ばから後半にかけての、大高さんのいう、前売り券で支えられていた日本映画の崩壊という時期は、邦画大手、例えば松竹はブロックブッキングからの撤退という厳しい壁に直面しており、一方、邦画インディペンデントは海外の映画祭の受賞に名を連ね、メディアは日本映画復活などと囃したてたりしていましたが、それらの作品は日本で凱旋興行してもまったく当たらなかった。 掛尾良夫
掛尾良夫
シネコンの普及は観客にとって映画館を身近なものにしましたが、そこで日本映画は支持されず、日本映画のシェアは27%にまで落ち込んでいった。邦画の大手もインディペンデントも行き詰まっているところに、「踊る大捜査線」あたりからだと思いますが、テレビ局主導の邦画が出てきてヒットするようになった。これまで日本映画だけを上映していた映画館には、女性の足はなかなか向かなかったし、今まで、日本映画なんてダサイ、クライと女性誌に紹介ページも割いてもらえなかったのが、テレビ局発のダサくもクラくもない日本映画が発信され始めたわけです。タマゴと鶏の関係のように、どちらが先にとはいえないかもしれませんが、映画を見る環境が整ったところに、観客が望む映画が供給されるようになった。テレビ局発信の映画は、今まで映画界が発信していた映画とは違って、見る側のこういうものが見たいという要求に答えた作品を提供しています。これが100%良いことだとは思いませんが、こういう映画が増えて、浸透してきている。それで、かつて邦画は理屈っぽいとか貧乏くさいとか言われていたのが、今やおもしろければ洋邦問わずに見る、という流れになっていったんでしょうね。
 そこで、今度はマーケットの話になるんですが、シネコンの普及による観客側のメリットというのは、日本映画に限らず多様な映画を見ることが出来るという点にありました。ところが、ヒット作を効率よく上映するというシネコンの機能によって、当たらない映画はとことん追いやられ、多様な作品を提供する場所ではなくなってくるわけです。それが特に洋画に顕著になって、多くの輸入配給会社が現在厳しい状況にあるわけですよね。
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